施設入居中の80代女性。「親指が痛くて歩けない」

「親指が痛くて歩けない」という切実なご相談でした。

一見すると、爪白癬(爪水虫)を伴う重度の巻き爪。
しかし、慎重に剥離部をクリーニングしていくと、そこには想定外の光景がありました。

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痛みの原因:5本の「汚染組織」

爪下のポケット(陥入部)を精査したところ、
白癬菌に侵され硬化した「皮膚片」が5本、
まるで棘(とげ)のように爪床に深く刺さっていました。

これこそが、物理的な激痛と強烈な匂いの原因。
「形」を整える前に、まずはこの「異物」を取り除くことが最優先でした。

看護師としてのリスクアセスメント

今回のケースで最も重要だったのは、
「安易に矯正器具(牽引)をかけなかったこと」です。

広範囲な剥離があり、かつ白癬化した組織が刺さっている状態で無理に爪を立ち上げれば、汚染組織をさらに奥へ押し込み、重篤な二次感染を引き起こすリスクがありました。

私は、以下の判断基準を徹底しました。

除去最優先: 物理的なストレス(刺さっている棘)を排除し、洗浄可能な環境を作る。

多職種連携: 現場の担当看護師さんと即座にディスカッション。

継続ケアの構築: 毎日の足浴+処方薬(ゲンタシン等)の塗布を連携し、24時間体制で感染リスクを管理。

「ケア」と「治療」の境界線に誠実であること

感染兆候や皮膚損傷が著しい場合は、即座に手を止め、医師に繋ぐ。
この「攻めの引き際」こそが、フットケアを「実業」として行う看護師の責任です。

幸い、処置後は痛みも消失し、現場スタッフとの明確な観察基準も共有できました。

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